Windows 10 を仮想化環境上で利用したいと思い、技術的には何の問題もないと分かっているのですが、ライセンス的にどうなのかが分からなかったので調べてみました。
- OEM 版 Windows 10 Pro がプレインストールされた PC を持っている
- PC の OS は Linux に入れ替える
- Linux 上に仮想化環境 (例. VirtualBox) を構築し、その環境上で Windows 10 Pro を稼働する
- 仮想マシンの Windows 10 Pro は、ホストの Linux からリモート アクセスして利用する
- ホストの Linux と仮想マシンの Windows 10 Pro の利用者は同じ
この内容は Microsoft に問い合わせた結果として得られたものではありますが、あくまでライセンスの処理については自己責任ということでお願いします。同様の状況であってもサポート窓口へ問い合わせることを強く勧めます。
以下、箇条書きの項目が Microsoft からの回答です。
OEM 版 Windows 10 Pro の仮想化
- OEM 版は 1 つのデバイスに 1 つの OS をインストールして良いというライセンス形態
- OEM 版 ライセンスを保持したデバイス上へのインストールであれば、ローカルか仮想環境かは問わない
- OEM 版 Windows 10 Pro がプレインストールされた機器でホスト OS を Linux に入れ替え、仮想マシンとして OEM 版の Windows 10 Pro を 1 つ稼働させるのは、ライセンス上 OK
- OEM 版 Windows 10 Pro を仮想化するにあたり、必要になるインストール メディアとプロダクト キーはデバイスの購入メーカーから手に入れる必要がある
ということで、Linux に入れ替えたデバイス上で そのデバイス用の OEM 版 OS を仮想マシンとして利用するのは OK みたいです。(他のデバイス上にインストールするのは NG です)
仮想化した OEM 版 Windows 10 Pro へのリモート アクセス
何とかして仮想化環境を構築したはいいものの、どうやって利用したらいいのか (利用することが許可されているのか) が疑問だったので聞いてみました。
- OEM 版 Windows 10 Pro のライセンスを保持したデバイスのメイン利用者であれば、接続元の環境を問わずにリモート アクセス OK (例. Windows 10 Home、Windows 7、Linux、macOS)
- それ以外の利用者の場合は、Windows 10 Pro 以上 (Pro もしくは Enterprise) のライセンスを保持したデバイスからのみリモート アクセス OK
別の利用者の場合、Windows 10 Home からのアクセスが NG なのは、やってしまいそうなポイントなので注意したいですね。
とりあえず、今回の要件ではインストール メディアとプロダクト キーさえメーカーから用意できれば OK ということだったのでまあ良しとします。ただ、気になったのでついでに質問しておきました。もしメーカー側がメディアを用意してくれない場合には、VL 版を購入して Windows 10 Enterprise にアップグレードするしかないとのことでした。
Windows 10 Pro 上で Windows 10 Pro の仮想マシンの利用
この場合、少なくとも追加で 1 つの Windows 10 Pro ライセンスが必要ということは分かるのですが、どのような形で用意すれば良いのかを聞いてみました。
- 追加ライセンスが必要という認識で間違いない
- 仮想マシンとして利用したい Windows 10 Pro の台数によって対応できる方法が変わる
結果 2 パターンあるようでしたので、分けてみます。
OEM 版 Windows 10 Pro 上に Windows 10 Pro の仮想マシンを 1 台稼働させたい
- Windows 10 Pro の FPP (パッケージ) 版を別途用意し、そのライセンスで仮想マシンを稼働させれば OK
これはまあ想像通りですね。
OEM 版 Windows 10 Pro 上に Windows 10 Pro の仮想マシンを複数台稼働させたい
- OEM 版を VL (ボリューム ライセンス) 版の Windows 10 Enterprise にアップグレードする必要がある
- さらに SA (ソフトウェア アシュアランス) を付ける必要がある
(つまり、OEM + VL + SA の環境が必要) - SA の代わりに VDA ライセンスでも OK
- 上記を満たしたい場合、Windows 10 Enterprise E3 (per device) を販社などから購入すれば OK
- Windows 10 Enterprise E3 であれば、同一デバイス上で最大 4 台の Windows を同時稼働 OK
(同時稼働でなければ、4 台を超えても OK)
とりあえず E3 を買っておけば OK ということみたいですね。急にハードルが上がった気がします。
まとめ
やっぱりライセンス周りはいろいろとややこしいですね。窓口に聞くのは必須という感じがします。今回問い合わせるにあたり、まずは Windows 10 にインストールされている 問い合わせ アプリを利用したのですが、この窓口では対応しきれないという回答でした。そのため、そこで紹介を受けた ボリューム ライセンス窓口へ問い合わせて、この結果を得ました。OEM 版の話なので個人向け窓口でもいいかと思ったのですが、仮想マシンとか P2V とかの話を聞くと、「個人レベルで P2V とかをされる方はなかなかいらっしゃらないので…」ということでギブアップされました。P2V って個人レベルじゃやらない想定だったんですね… すいません。
おまけ
今回最初に使った 問い合わせ アプリ、なかなか使い勝手が良さそうかなと思ったんですが、ヘンな点もありました。起こっている問題をテキストで入力した後、製品 と 問題点 をドロップダウン リストから選択するのですが、製品: Windows、問題点: 購入とライセンス にしたところ、Office の窓口につながりました。謎です。今回の問題では、製品: Windows、問題点: セットアップ が正しい選択ということでした。